和歌山県 かつらぎ町 松本農園
農薬化学肥料不使用 有機JAS認証「ひらたねなし柿」
〜ご主人の意思を継ぎ、妻が育てた極上の柿〜
ここ数年、柿は(高級)デザートとして注目されています。
「柿は、近所に成っているものをいただくもの」と思っている柿とは大違いかもしれません。本当においしいんですよ。
ご紹介する松本農園の柿も程よい歯ごたえとしっかりとした甘味と果汁で、インターネットをはじめ、とても人気のある柿です。
松本農園は、今では、柿の名産地となった和歌山県かつらぎ町にあります。
ゆるやかな斜面に民家と果樹が混在し、果樹栽培の原風景と言った趣です。
代々農家の松本農園では、古くはお米など中心に作っていましたが、付加価値のある作物を作ろうと、徐々に果樹栽培に特化していきました。
そして30年ほど前に、松本さんのご主人が、美味いだけでなく、安心して食べてもらえるためと一念発起し、農薬や化学肥料に頼らない農業に移行しました。
米の産地であったこの地区でも大変珍しいことでした。
10年ほどは順調に進みましたが、2000年にご主人が体調をくずし入院され、その後は松本さんがご主人の介護と農業の両方をほとんど一人で、約20年間支えてこられました。
元々、体が丈夫だった松本さんはめげることなく、まず継続する事を最優先して、車の免許もすぐに取得し、自分ひとりで管理できる範囲に圃場を縮小しました。
最も苦労したのは、毎年実付きを良くするためにしなければならない、「剪定」という木の枝を落とす作業でした。
プロの剪定士は「伸ばす枝」「落とす枝」を慎重に見極めて作業を進めますが、ほとんど素人の松本さんは病室のご主人の助言を頼りに、見よう見まねで必死になって作業したそうです。
それでもご主人が始めた有機栽培を、途中でやめようと思ったことは一度もなかったそうです。
一人で作業しているので、収穫期にせっかく実った柿を採り切れず、木の上で鳥の餌にしてしまうこともあったそうで、今では、収穫期にすべての収穫が間に合うことが最大の喜びで、一年で一番ほっとすると言います。
ご主人の他界
今年の1月、入院していたご主人が亡くなられました。
「寂しさを感じる暇もなかった」と松本さんは振り返ります。
一方で、亡くなれられる1年ほど前から、息子さんが農業を継ぐため家に戻ってきました。
ご主人から受け継いだ農業の心を、息子さんに引き継いでゆくことを、今は最優先にしておられるのだと感じました。
次世代へと受け継がれようとしている、松本農園の美味しい柿が今年も元気に実っています。
ぜひお召し上がりください。
ひらたねなし柿とは?
明治時代に山形県で発見された種のない突然変異の柿。
甘みが強く果汁も豊富で程よい固さの食感が人気。
害虫は、下記の果樹園にも当然やってきます。
EM活性液や、燻炭液などを使って虫を忌避させ、農薬は使いません。
とても手間がかかりますが、それが松本さんと亡くなったご主人の志。
和歌山県 かつらぎ町 松本農園
松本芳子さん、光司さん
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